人権擁護大会決議案作成作業

2024年04月01日

今年は、名古屋市内で日弁連の人権擁護大会が
開催されます。

3つのシンポジウムのうちの一つが生活保護の
問題を取り上げることとなっています。

日弁連副会長を退任して早々ですが、
大会で審議され決議案の作成ついて
協力をさせていただいています。

年間の自殺者総数は、長期的には減少傾向に
ありますが、
昨年は一昨年と比較して、経済・生活問題を動機
とする自殺者数が大きく増えてしまっています。

経済的な理由で自ら命を絶つ方が少なくなるよう
生活保護を中心としたテーマについて、
あらためて考えていければと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 19:38貧困対策

シンポジウム「失業時の生活保障を考える-勤労権を守るための雇用保険改革-」

2023年06月27日

先日、日弁連主催のシンポジウム
「失業時の生活保障を考える-勤労権を守るための雇用保険改革-」
を開催しました。

私も担当者の一人として、最後まで参加させていただきました。

日弁連は、昨年、雇用保険の抜本的改革を求める意見書を
公表しており、シンポジウムでは、その内容を報告するとともに、
研究者などを交えた討議も行いました。

日弁連が公表している意見書では、受給要件の緩和、
受給日数の引き上げなどを求めています。

勤労者の権利を守るための雇用保険とすべく、
日弁連でも取り組んでいきたいと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 20:31貧困対策

法律扶助シンポ「真のリーガルエイドを実現するために」

2023年02月16日

本日、日弁連講堂において、法律扶助シンポジウム
「真のリーガル・エイドを実現するために」が
開催されました。

蜜を避けるため机の間隔を大きく開けた
レイアウトでしたが、
国会議員もかけつけるなど、
熱気の感じるシンポになりました。

養育費から分割で弁護士費用を払う制度は
間もなく解消されますが、
多くの問題を抱えている方ほど、
手厚い支援が必要であるにもかかわらず、
そのような方ほど負担が大きくなる
現在の法律扶助制度について、
様々な観点からの指摘がなされました。

これも機会に、法律扶助制度の改革に
つながっていけばと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 20:17貧困対策

全国クレサラ被害者交流集会

2022年11月04日

全国クレサラ・生活再建問題被害者交流集会が、
先日、大津市で開催されました。

今回で41回目ですが、りモートでの参加を含め、
百数十名が参加しました。

当日の全大会に至る数週間前から、
分科会がリモートで開催されていましたが、
分科会の成果に加え、当日のパネルディスカッション
の成果も踏まえて集会宣言も採択されました。

パネルディスカッションでは、社会福祉協議会を窓口とした
生活福祉資金の特例貸付を中心に議論がなされ、
生活困窮者へのあるべき支援についての
検討が深まっていきました。

来年の開催概要については固まっていませんが、
今後の民間団体における取組についても、
可能な限り関与ができたらと考えています。  


Posted by わかくす法律事務所 at 18:58貧困対策

「フードバンクさが」理事会

2022年10月25日

本日、特定非営利活動法人フードバンクさが
の理事会が開催されました。

前回以降の活動報告に続き、今後の活動に関して
審議が行われました。

最後の審議事項で、来年度に日弁連副会長に
就任予定の私に関して、
来年冒頭の臨時総会で、後任を選出
する運びになりました。

今回が実質的に最後の理事会になったかもしれませんが、
まだ理事としての役割を年内いっぱいは
果たしていきたいと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 22:20貧困対策

シンポジウム「自動車運転者の労働実態と休息時間(勤務間インターバル)のあり方について考える」

2022年08月31日

日弁連では、9月7日17時から、シンポジウム
「自動車運転者の労働実態と休息時間(勤務間インターバル)のあり方
について考える」を開催します。

https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2022/220907.html

オンライン開催で、遠方からでも参加が可能です。

トラック運転手などの自動車運転者は、
労働時間が不規則かつ、長時間となりがちで、
過労防止のためには、勤務間インターバルの規制が
有効といわれています。

日弁連では、勤務間インターバルについても
意見を表明していますが、
あるべき労働時間規制の在り方を検討する
機会になればと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 22:44貧困対策

フードバンクさが理事会

2022年05月31日

この度、私が理事を務めている
特定非営利活動法人フードバンクさがの
理事会が開催されました。

前年度の活動報告や、次年度の活動方針など
幅広い討議を行いました。

日常の活動にかかわることは少ないですが、
法律家の理事として、期待される役割を
今後も担っていき位と思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 23:18貧困対策

奨学金制度の運用

2022年01月02日

先日の西日本新聞の1面が「奨学金」でした。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/855391/

コロナ禍において困窮世帯の支援策などが
実施に移されていますが、
アルバイト収入を失った学生への支援も重要になります。

その一方で、日本学生支援機構の「奨学金」
の運用については以前が問題の指摘がありました。

消滅時効、保証人の分別の利益、
制度内救済手続きの運用など・・・

独立行政法人として、国の強い財政関与のある組織であり、
より公正な運用を求めていきたいと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 07:13貧困対策

全国クレサラ被害者交流集会

2021年10月30日

本日、大阪市内で、全国クレサラ・生活再建
被害者交流集会が開催されました。

明日までの2日間の日程で開催されます。

昨年は延期となったため、2年ぶりの開催です。

新型コロナウイルスの感染は落ち着きつつありますが、
今年はリアルとオンラインのハイブリットでの
開催です。

初日の全体会は、公の後退を中心とした
社会保障や当事者・社会運動を中心に
議論がなされました。

明日は9つの分科会などが、本日と同様、
ハイブリットで開催されます。

現在の消費者問題、社会保障の問題について、
討議が深まり、あるべき方向性を
見い出せればと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 18:10貧困対策

地方自治の充実により地域を再生し、誰もが安心して暮らせる社会の実現を求める決議

2021年10月18日

日弁連は、先日の人権擁護大会において、
シンポジウムの成果を踏まえ
「地方自治の充実により地域を再生し、誰もが
安心して暮らせる社会の実現を求める決議」を
採択しました。

詳細は日弁連のホームページでご確認ください。

https://www.nichibenren.or.jp/document/civil_liberties/year/2021/2021_3.html

今後も、地域再生や、地域の社会保障充実のための
取組をしていきたいと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 23:11貧困対策

日弁連人権擁護大会シンポジウム

2021年10月15日

岡山市内で、昨日から、
日弁連の人権擁護大会が開催されています。

初日の昨日は、3つのシンポジウムが開催されました。

コロナ禍のため、どのシンポジウム会場も
来場者を制限していましたので、
例年のような熱気、とまではいきませんでしたが、
壇上では熱い議論がなされていました。

私は第3分科会の「人口減少と社会保障」を
最初から見させてもらいましたが、
問題点を鋭く指摘する基調講演に続き、
当事者からの発言では、
地域から公立病院、公立学校、日用品を買うところ
などが次々と奪われていく現状などが、
生々しく報告され、問題点が浮き彫りにされました。

最後のパネルディスカッションでは、
それぞの問題について討議がなされ、
課税とその分配の在り方や、
住民と自治体のあるべき姿などについて
今後の報告制を示されていました。

シンポジウムの成果を踏また決議案が、
本日議論されましたが、
昨日のシンポジウムの成果が、
人口減少を踏まえた今後の社会保障の議論に
生かされていくことを期待したいと思います。

昨年の大会は中止となりましたので、
2年がかりでシンポジウムの準備にあたられた
皆さんに敬意を表します。  


Posted by わかくす法律事務所 at 23:44貧困対策

「フードバンクさが」理事会

2021年05月25日

先日、私が理事に就任しているフードバンクさが
の理事会が開催されました。

年度替わりということもあり、
前年度の活動報告や、今年度の活動方針など
を中心に討議しました。

事務局側が丁寧に準備をされていたため、
意見を言わなければならないことは
基本的にありませんでしたが、
法律家として、中心的に関与しなければならないこともありました。

なお、状況を踏まえて、今回もオンラインでの開催でした。

オンラインでの会議も利点はありますが、
文字通り機械的な会議に感じてしまい、
本音を語りあえている実感が足りません。

以前のように、直接顔を合わせての会議を
何の抵抗もなくできるように、早くなればと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 19:48貧困対策

「フードバンクさが」理事会

2021年02月17日

先日、法人化した「フードバンクさが」の
理事会が開催しれました。

リモートでの会議でしたが、
代表、事務局からの経過報告や
活動方針についての説明の後、
出席理事による討議が行われました。

また、関係団体などとの連携についても討議され、
連携先候補についての提案などを
させていただきました。

さらに、現時点では小規模な団体ですので、
理事の役割分担なども行うこととなりました。

ただ、任意団体当時から関与しており、
弁護士である私の主な役割は理解しているつもりですので、
今後も要求される役割を果たしていきたと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 20:06貧困対策

医療保障制度に関する問題

2020年12月22日

本日、日弁連の会議において、
静岡大学の国京先生に講演していただきました。

テーマは「地域医療」と医療アクセス。

地方における「無医地区」の存在や
都市部における病院の統廃合などの
問題点をふまえ、
医療へのアクセスをどう確保するかにいて
ご報告いただきました。

イギリスは保険サービス方式で、
社会保険制度の日本と制度の違いはありますが、
対GDP比での国民医療費割合の低さや、
現物給付、全住民対象などの点で
共通点があるとのことで、
イギリスの制度を参考としてた
方向性を示していただきました。

身近な人権問題であるものの、
予算的な問題もあって一朝一夕に解決
できるものではありませんが、
今後の取組に生かしていければと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 18:07貧困対策

緊急小口など延長

2020年12月09日

厚生労働省は、緊急小口資金などについて
延長すると発表しています。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201209/1000057263.html

緊急小口資金については、生活に困った方が、
当面の生活費のために小口の融資を受ける制度ですが、
新型コロンウイルスの影響で失業など休業など
収入が減少した方について利用できる特例が、
来年3月末まで延長されることとなりました。

仕事を失うなどの事情で、家賃が払えなくなった人に、
自治体が家賃を支給する「住居確保給付金」も、
最長9か月の支給期間も、最長12か月と延長
されることとなりました。

手続や要件などについて問題もありそうでが、
生活に困窮している方々への支援が、
今後も拡張されることを期待したいと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 23:39貧困対策

特定非営利活動法人フードバンクさが

2020年10月15日

本日、佐賀市の商工ビルにおいて、
特定非営利活動法人フードバンクさが
の設立総会が開催されました。

もともと任意団体として活動していた
フードバンクさがが、今回、法人化したことになります。

私も個人的に影で協力をしていたところ、
今回は理事として、就任することとなりました。

今後も、契約書面の確認など、裏方的な役割が
中心となりそうですが、
これからは正式な役員として、
しっかりと活動を支えていければと思います。  


Posted by わかくす法律事務所 at 19:28貧困対策

日弁連「最低賃金引上げ」会長声明

2020年06月21日

先日、日弁連、最低賃金の引き上げを求める
会長声明を発出しました。

毎年発出しているものですが、今回は、
「全国一律」の意見書採択後初めて、ということもあり、
その点にも言及しています。

各地の取組の参考となれば、と思います。

-------

低賃金労働者の生活を支え、地域経済を活性化させるために
最低賃金額の引上げと中小企業支援強化並びに全国一律最低賃金制度
の実施を求める会長声明

 厚生労働大臣は、近いうちに、中央最低賃金審議会に対し、2020年度
地域別最低賃金額改定の目安についての諮問を行い、同審議会から、
答申が行われる見込みである。
 昨年、同審議会は、全国加重平均27円の引上げ(全国加重平均額901円)
を答申し、これに基づき各地の地域別最低賃金審議会において地域別最低賃金額
が決定された。
 時給901円という水準は、1日8時間、週40時間働いたとしても、月収約
15万7000円、年収約188万円にしかならない。

 今般、政府の緊急事態宣言により、経営基盤が脆弱な多くの中小企業が
倒産、廃業に追い込まれる懸念も広がる中、最低賃金の引上げが企業経営に
与える影響を重視して引上げを抑制すべきという議論もある。

 しかし、労働者の生活を守り、新型コロナウイルス感染症に向き合いながら
経済を活性化させるためにも、最低賃金額の引上げを後退させてはならない。
 多くの非正規雇用労働者をはじめとする最低賃金付近の低賃金労働を
強いられている労働者は、もともと日々生活するだけで精一杯で、緊急事態に
対応するための十分な貯蓄をすることができていない。
 ここに根本的な問題がある。
 また、今般の緊急事態下において、小売店の店員、運送配達員、福祉・
介護サービス従事者等の社会全体のライフラインを支える労働者の中には、
最低賃金付近の低賃金で働く労働者が多数存在する。これらの労働者の労働に報い、
その生活を支え、社会全体のライフラインを維持していくためにも最低賃金の
引上げは必要である。

 一方、最低賃金の引上げによって経営に大きな影響を受ける中小企業に対しては、
新型コロナウイルス感染拡大に備えた支援策が拡充されているところであるが、
政府は、長期的継続的に中小企業支援策を強化すべきであり、最低賃金の引上げが
困難な中小企業のための社会保険料の減免や減税、補助金支給等の中小企業支援策
の検討を進めるべきである。
 また、中小企業の生産性を向上させるための施策を有機的に組み合わせることや、
これまで以上に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律や
下請代金支払遅延等防止法を積極的に運用し、中小企業とその取引先企業との間で
公正な取引が確保されるよう努めることも重要である。

 さらに、最低賃金の地域間格差が依然として大きく、ますます拡大していることも
見過ごすことのできない重大な問題である。
 2019年の最低賃金は、最も高い東京都で時給1013円であるのに対し、
最も低い15県は時給790円であり、223円もの開きがあった。
 最低賃金の高低と人口の転入出には強い相関関係があり、最低賃金の低い
地方の経済が停滞し、地域間の格差が固定、拡大している。
 都市部への労働力の集中を緩和し、地域に労働力を確保することは、
地域経済の活性化のみならず、都市部での一極集中から来る様々なリスクを
分散する上でも有用と言える。
 当連合会は、2020年2月20日付けで「全国一律最低賃金制度の実施を求める意見書」
を発表したところであるが、政府においても早急に、全国一律最低賃金制度の実現に
向けた検討が開始されるべきである。

 以上より、当連合会は、各地の地方最低賃金審議会において最低賃金額の引上げを図り、
地域経済の健全な発展を促すとともに、労働者の健康で文化的な生活を確保するために、
本年度、中央最低賃金審議会が、まずは地域間格差を縮小しながら全国全ての地域において
最低賃金の引上げを答申すべきことを求めるものである。

                2020年(令和2年)6月3日
                  日本弁護士連合会
                   会長 荒   中  


Posted by わかくす法律事務所 at 14:04貧困対策

九州一斉相談会

2020年05月29日

本日、九州一斉の相談会を開催しました。

生活保護や失業・休業で生活苦に陥っている方々への相談で、
佐賀での会場は私の事務所でした。

佐賀での相談担当が、私が事務局長をしている
生活総合支援ネッワーク佐賀、通称「絆ネット」で、
相談には司法書士さんにも協力していただきました。

感染の第二波も気になるところで、
相談は今後増加してくる懸念がありますが、

うちの事務所への相談依頼も増えつあるところですが、
可能な限り、支援を行えるようにしていきたいと思います。
  


Posted by わかくす法律事務所 at 18:03貧困対策

日弁連「生活保護活用」会長声明

2020年05月10日

日弁連では、先日、「新型コロナウイルスの感染拡大が
収束するまでの一定期間の特例措置として、生活保護制度の
運用を緩和し、同制度の積極的活用を求める会長声明」
も発出しました。

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200507_4.html

セーフティネットとしての生活保護について、
今後増加することが予想され、運用の緩和が
求められてくると思われます。

今後も、何が求められているのかを考えながら、
取り組んでいきたいと思います。

---------------

「新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの一定期間の
特例措置として、生活保護制度の運用を緩和し、同制度の
積極的活用を求める会長声明」

 政府は、本年4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、
7都府県を対象に緊急事態宣言を発出し、同月16日にはこれを全国に拡大、
5月4日には同月31日まで延長した。
 これに伴い、営業や外出の自粛が要請されることによって、仕事と収入の
減少又は喪失に見舞われ、生活困窮に陥る人々が増え始めている。
 仮に緊急事態宣言が終結しても、営業や外出の自粛が引き続き求められる
であろうことからすれば、今後、時間の経過とともに生活困窮に陥る人々が
爆発的に増えることも予想される。

 こうした生活困窮に対応するのが生活保護制度であるが、我が国の
生活保護制度には、厚生労働省が発出する通知(保護の実施要領)により、
厳しい資産要件や扶養義務者に対する調査等、利用に当たっての高い
障壁がある。
 既に厚生労働省は、緊急事態宣言発出後、稼働能力活用要件の判断を
留保し、就労・自営収入減少者に対する増収・転職指導を停止する等、
運用を緩和・改善するいくつかの事務連絡を発出しており、それ自体は
評価することができる。
 しかし、目下の非常事態への対応策としては、いまだ部分的な改善に
とどまると言わざるを得ない。

 一時的な所得保障さえあれば急場を凌ぐことができ、感染拡大収束後には
元の生活に戻れるであろう多くの人々の生活基盤を確保するためには、
目下の特異な状況下における特例措置として、先に述べた生活保護利用上の
各種障壁を一時的にせよ思い切って緩和することが有益であり、必要である。
 それは、平常時においてさえ人員不足である福祉事務所職員の更なる
事務負担を軽減するとともに、職員及び要保護者の感染拡大を防止しながら、
迅速な決定で生活困窮者の生活を支えることにもつながる。

 そこで、当連合会は、厚生労働省に対し、生活保護制度の誤解や偏見を
払拭し、その積極的な利用を促すための広報をすることを求めるとともに、
新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの一定期間中の特例措置として、
以下の諸点において、生活保護制度の運用を抜本的に緩和する厚生労働省通知
を発出し、それによって、同制度の積極的活用を求めるものである。

1 面接相談窓口の負担軽減、感染拡大防止、給付の迅速化のため、
 持続化給付金等と同様に、ウェブ申請を可とすること。

2 緊急事態宣言期間中及び終了後一定期間は、生活保護法4条3項の
 「急迫した事由」が認められるものとし、収入基準の審査のみで保護の
 要否判定を行うこと。

3 その場合、保護開始時の現金・預貯金は最低生活費の5割しか認めない運用
 を改め、少なくとも最低生活費3か月分までは保有を認めること。

4 厳格な要件下でしか自動車の保有を認めず、保有を認められた失業・休業者
 についても求職活動等に必要な場合しか使用を認めない運用を改め、
 原則として自動車の保有及び使用を認めること。

5 住宅ローンを負担する者に対する保護の適用を原則として認めない運用を改め、
 ローンの支払が繰り延べられている場合に準じて、住宅ローンを負担する者に
 対しても保護の適用を認めること。

6 一定の在留資格を有する外国人についてのみ生活保護法の準用を認める
 運用を改め、母国に容易に帰国できない状況等に鑑み、在留資格の有無・内容に
 かかわらず同法の準用を認めること。

7 扶養義務者に対する調査は、急迫事由が止んだ後に行うものとし、
 「明らかに扶養義務の履行が期待できない者」についてのみ扶養義務者に対する
 調査を省略する取扱いを改め、「明らかに扶養義務の履行が期待できる者」に
 ついてのみ調査を行えば足るものとすること。

8 住居のない要保護者について、無料低額宿泊所等の集団処遇施設に入所させる
 ことを原則とする運用を改め、生活保護法30条1項のとおり居宅保護を原則とし、
 居宅確保までの一時的居場所としても、一時生活支援事業に基づく契約ホテル等の
 個室提供を原則とすること。

                2020年(令和2年)5月7日

                  日本弁護士連合会
                     会長 荒   中  


Posted by わかくす法律事務所 at 23:44貧困対策

日弁連「雇用調整助成金」等、会長声明

2020年05月08日

日弁連は、昨日、「新型コロナウイルス感染症による緊急措置として、
労働者が失業したものとみなして失業給付を受給できる措置を
講じるとともに、雇用調整助成金の迅速な支給拡大を求める会長声明」
を発出しました。

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200507.html

タイトルが長いですが、タイトルで内容が
お判りいただける方も多いかと思います。

今後も、「今、何が必要か」という観点で、
取り組んでいけたらと思います。

---------------------

「新型コロナウイルス感染症による緊急措置として、労働者が失業したものと
みなして失業給付を受給できる措置を講じるとともに、雇用調整助成金の
迅速な支給拡大を求める会長声明」

 政府は、本年4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、
7都府県を対象に緊急事態宣言を発出し、同月16日にはこれを全国に拡大、
更に5月末日まで延長した。これにより、国民生活全体に大きな影響が及んで
いるが、特に、リーマンショックをはるかに上回ると言われる経済活動の停滞の中で、
事業継続が困難となる事業者が続出し、それに伴って失業者が急増するなど
今後の雇用環境の悪化が現実化しつつある。

 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、事業自体が失われたり、
労働者が解雇されるなどして雇用契約関係から離脱してしまうと、その回復には
多大な時間と労力を要することになる。
 政府は、感染症収束までの間、事業者の経営状態悪化に伴う従業員の解雇を
回避することに主眼を置いた既存の制度の応急的かつ弾力的な活用を思い切って
すべきである。

 まず、事業の継続による雇用の場の維持や雇用関係を維持する緊急措置が
必要である。
 この点、激甚災害時に適用される「激甚災害に対処するための特別の財政援助等
に関する法律」25条の「雇用保険法による求職者給付の支給に関する特例」は、
事業所が災害を直接の原因として休止・廃止したため休業を余儀なくされ、
労働者に休業手当を含む賃金を支払うことができない場合に、実際に離職していなくても、
あるいは再雇用を約した一時的な離職の場合であっても、労働者が失業したものと
みなして失業給付を受給できる制度である。

 政府は、この特例措置にならって、今回の緊急事態宣言に伴う事業の休止等にも
同様の措置をとり、感染症収束までの間、実際に離職していなくても労働者が失業給付を
受給できるよう措置を講じ、事業再開を目指す事業主による雇用の維持を図るべきである。

 また、雇用調整助成金は、事業主が雇用維持のために従業員に休業手当を支払った
場合に、その一部を助成する制度であり、今こそ十分な活用が期待されている。
 政府も令和2年4月1日から6月30日まで(緊急対応期間)に限り特例措置として、
対象者の拡大(雇用保険被保険者でない労働者を含める。)、被保険者期間の要件の撤廃、
助成率の引上げ(中小企業では3分の2から5分の4へ、解雇等を伴わない場合は
10分の9から更に10分の10へ。)を行った。

 しかし、制度自体がいまだ十分に周知されておらず、事業主が休業手当を支払った後に
助成金が支給される仕組み(後払い方式)となっていることから、添付書類の作成手続が
煩雑で、ハローワークの人員体制も追い付いておらず、決定・支給に至るケースがいまだ
わずかな件数にとどまっている。
 助成額の上限も労働者1人当たり1日8330円にとどまっている。
 これでは、緊急時の経営破綻と従業員の解雇回避策として機能しているとは到底
言えない。
 政府もオンライン申請化や手続の簡素化、上限引上げを検討しているが、この際、
中小零細事業主でも簡単に申請できるよう手続のさらなる大幅な簡略化・迅速化を進める
とともに、助成額上限の大幅な引上げを行った上で、制度の一層の周知を図り、
ハローワークの人員拡充、応援体制の構築等事務処理体制を抜本的に強化するべきである。

 当連合会は、以上のとおり、緊急事態宣言及びその影響による雇用情勢の悪化に対して、
雇用社会を維持するために政府に対して抜本的な対策を早急にとることを強く求めるものである。

                2020年(令和2年)5月7日

                   日本弁護士連合会
                     会長 荒   中  


Posted by わかくす法律事務所 at 19:36貧困対策