武富士の更生計画案の決議に関する会長談話

2011年09月01日

慎重に手続をしていたら時機を逸してしまった感もありますが、
以下のとおり「談話」を出しましたのでご報告です。

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 現在,更生会社株式会社武富士(以下,「武富士」という。)の
会社更生手続において,更生計画案に対する書面決議が行われているが,
これには,看過できない以下の問題がある。

 まず武富士の更生管財人の小畑英一弁護士は,
もともと武富士から会社更生手続の申立ての依頼を受け,
武富士の代理人となった人物である。
同人に関しては,武富士と過払金債権者との間での公平中立性が
担保されていないと言わざるを得ない。
更生管財人は,その職務を遂行するに際して公正中立性が
求められるから,その選任に関して,申立人の代理人弁護士が
選ばれるような運用は,裁判官の記した文献でも,否定的に解されていた。
このように更生管財人の中立性に疑義があり,更生管財人が,
債権者に過大な負担を負わせる更生計画案の提示や,
武富士創業者一族の責任追及を徹底して行わない、などの
おそれを払拭できない。
つまり,武富士の更生管財人は,「武富士の味方」となるおそれがあるのである。
現に,配当率の算定に極めて重要なスポンサー選定手続においても,
その候補者の一部が,手続きの不透明さ等に抗議する異例の事態となったが,
この点についても,十分な説明がなされていない。

 また現在,武富士の更生管財人は,過払金債権者に対して,
「更生計画案へのご賛同のお願い」なる書面を送付し,連日,
武富士の社員や更生管財人の代理人弁護士に電話をかけさせて,
更生計画案に賛同するように働きかけている。
その際に,過払金債権者に対して,「更生債権額の過半数の同意を
獲得できなければ武富士は破産することとなり,その場合の
弁済率は1.92%となる。」であるとか,
「税金の還付請求や旧役員に対する損害賠償請求などにより
原資を確保し,第2回弁済を実施する。」などと説明させて,賛同を求めている。
しかしながら,武富士の更生管財人の中立性に疑義があるという状況下では,
破産の場合の配当率1.92%という数字の信憑性も十分ではない。
現に,武富士の社債債権者らが独自に提出した更生計画案では,
合理的な資産処分がなされれば,清算配当率は更生計画案の
弁済率である3.3%を超える可能性があることが指摘されている。
また,第2回弁済の実施計画についても,管財人の更生計画案では,
第2回弁済計画の弁済率が1~20%と極めて幅のある数字とされているなど,
その実現可能性は極めて不明確である。

 このように,武富士の会社更生手続においては,
更生管財人の中立性に疑義があり,これまでの説明によれば,
その更生計画案の信憑性について疑念を払拭し難い。
武富士に対する過払金債権者は,こうした点に留意し,
更生管財人が提示している更生計画案に対して,
慎重にその賛否を決する必要があると考えられる。

2011(平成23)年8月31日
佐賀県弁護士会 会長  辻   泰 弘

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Posted by わかくす法律事務所 at 09:36 │消費者問題